一郎君、脳の病院へ行こう

これは大島弓子ダリアの帯 (白泉社文庫)」のなかで主人公黄菜が自分の行動の異常さに気が付いて言うせりふだ。
黄菜は検査で進行性の健忘症のような診断を下されて、配偶者の一郎君の親類に入院させられる。
そっから先は奇妙なファンタジーになるのだが、この部分を私は大島弓子の凶暴な願いだととらえている。
現実の話であったら、黄菜入院後は一郎君との離縁、親子関係の修復の無いままの母親による看護、緩やかな死、だろう。
私も脳(というか心)の病院につれてってといいたくなるときがある。でも言わない。だからあのファンタジーは救いになるのだ。

ダリアの帯 (白泉社文庫)

ダリアの帯 (白泉社文庫)