他所様のしんどい

歯科の帰り、円形マット探してブラブラしていたらリュック背負った大きい中年の娘さんと白髪の小さなお母さんの(たぶん)親子連れがマットコーナーにいた。娘さんがなにやら商品を指して「これが必要」と要求しお母さんが断ると娘さんが泣き出した。「わたしはこんなにしんどい、しんどいのにー」と決壊していた。いつまでも泣く娘。それはわかる、知っているとなだめる母親。隣接ののソファコーナーでかれらは話し合いをはじめる。

私はこの風景を良く知っている。私はいつでも母親の前で決壊すれすれだったから。娘さんの子供っぽいファッションや姿勢、体型、何かが欠けると致命的と思い込んで物を買おうとする様子にも心当たりがある。娘さんの様子に私まで泣きたくなった。
このような行為が駄々をこねるというレベルで認められるのは何歳くらいまでだろう?娘さんのいう「しんどい」はきっと、駄々をこねるという表現では済まされないレベル、いつの時点で起こったものかはおよそ知らないが、彼女には不釣合いなしんどさなのだろう。

私は大きくなってから、母親に「決壊しそうなんだ」ということを平静時にやんわり(でも震えながら)説明したことはあるけれど、結局決壊したことはなかった。それでも決壊していたら気持ちよかっただろうか?うちのは決壊して見せても母親には何も解決できないことばかりだったが。そのくせ私は父親には決壊を仄めかしたり説明を試みたりしなかった。

や、一度だけ決壊したことがあった。一人暮らしの住処を要求したときだ。

マットコーナーの娘さんは気持ちよかっただろうか。決壊して母親に対することで問題は好転するだろうか。