弁証法

べんしょう-ほう ―はふ 0 【弁証法
〔(ギリシヤ) dialektikē; (ドイツ) Dialektik〕


(1)古代ギリシャで、対話などを通して事物の真の認識とイデアに到達する、ソクラテスプラトンにみられる仮説演繹的方法(問答法)をいう。アリストテレスでは、確からしいが真理とはいえない命題を前提とする推理をさし、真なる学問的論証と区別される。


(2)カントでは、経験による裏付けのない不確実な推理を意味し、それを純粋理性の誤用に基づく仮象の論理学ととらえる。


(3)矛盾を含む否定性に積極的意味を見いだすヘーゲルでは、有限なものが自己自身のうちに自己との対立・矛盾を生み出し、それを止揚することで高次なものへ発展する思考および存在を貫く運動の論理をさす。それは思考と存在との根源的な同一性であるイデーの自己展開ととらえられる。ヘーゲル弁証法


(4)マルクス・エンゲルスでは、イデーを展開の主体とするヘーゲル弁証法の観念論を批判し、自然・社会および思惟の一般的運動法則についての科学とした。